スズメバチ
刺されやすい状況とは
スズメバチは怖い。体は大きく飛ぶのも早い。刺されて命を落とす場合もあるという話を聞くとなおさら恐ろしい。
スズメバチ襲われにくくする方法を調べてみると、だいたい同じような結果になる。
- 熊と間違われないために黒い服を着ない。
- きつい香りの柔軟剤をつけない、香水を使用しない。
- 振り払ったり走って逃げたりしない。
私は以前スズメバチに刺されたことがあるが、実際これとは違う状況で襲われた。それは次のようなものだった。
梅雨明け間近の暑い晴れの日の正午ごろ、住宅街の狭い道を原付バイクで通っていた。ゆっくりでしか通れない道なので、相当ゆっくり、時速10キロくらいだった。
服装は白っぽいズボンに真っ白な上着。いつもは白い軍手をしているが、その日は暑かったので素手だった。ヘルメットは明るいベージュ色。黒い着衣は何もなかった。
香水をつける習慣はなく、柔軟剤の使用もなし、風呂には毎日入っているので体臭も蜂が気にするほどではなかったと思う。
道の先を見ながら運転していると、急に手首に激痛が走った。見ると大きな蜂が手首のちょっとでっぱった骨にしがみついて体を曲げながら必死で針を刺している。
すぐにバイクを止めて蜂を叩き落とした。反撃しないか様子を見ていると、飛び去った。手首を見ると赤い大きな穴が空いている。口で吸ってはダメだと知っていたが、他に方法がなかったので、傷を挟むように噛んですぐに唾液を吐き出すことを何回か繰り返した。
家に帰ってから流水で洗いながら冷やしたが、腫れてきた。他に体調に変化が見られなかったが、病院の午後の診察に行くことにした。
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バイク、草刈機のエンジン音に反応するのでは?
ここで振り返ってみると、私の刺された状況は、一般的に知られているものとは違う。
服装の色は全て白基調で、匂いもない。原付バイクで走っているだけなのである。
待てよ、原付バイクの音は、といえば。
スズメバチが発するブーンという音に似てはいないか?
スズメバチは人間のような視力ではないが、匂いはよくわかるようだ。音は、というと誰かが実験したのかどうかは知らないが、音は聞こえていないそうだ。しかし、振動は感じると。
音を振動で感じているとすると、確かに彼らの羽音からは人間の我々でも振動を感じる。
低い音で空気を振動させながら飛んでいるスズメバチは、同じように振動させているエンジンの音に反応しないだろうか。
バイクに限らず、草刈機のエンジン音も同じことだ。
夕方病院で診てもらった。医者は開口一番、「あなた、今無事に生きてるんだから大丈夫ですよ」。
聞くと、蜂に刺されて命が危ない場合、救命措置ができる現場にいるのならともかく、離れた場所で刺されて危ない時は、医師ができることは何もないという話だった。
・・・まあ、そうかな。
即死を免れ、自分で病院に行ける場合は、もう何も問題ないことがほとんどだそうだ。
私の手首もかなり腫れ、傷も痛かったがそれだけだった。
でも、口で毒を吸い出すのはやはりやめておいたほうがよい。
蜂の毒は水溶性で唾液に溶けて口の粘膜から体に吸収されるということだ。
それ以来、ポイズンリムーバーをお守りがわりに持っている。使い方を忘れるので時々練習が欠かせない。